酵母の種類と特徴(SAKE DIPLOMA勉強用)

優良清酒酵母の分離とその頒布

1904年に国立醸造試験所(現在の酒類総合研究所)が設立され、1906年に灘「櫻正宗」の酒母から清酒酵母を分離、限定的な頒布を開始した。
 きょうかい酵母の種別番号の末尾の「01」は、酒母や醪の発酵の際、高泡を形成しない性質をもつ「泡なし酵母」を表す。清酒酵母の1億個に1個ほどの割合で存在するといわれる変異株を分離・育成したもの。
 アンプル1本に約200億個の酵母が詰められていて、この一本で700~1500kgの原料米を発酵させ、およそ1.5~3kl、一升瓶にして830本から1660本の純米酒を作ることができるという。

清酒酵母たちの系譜

清酒酵母が日本酒醪から初めて分離されたのは1895年。その2年後の1897年に「Saccharomyces sakeYabe」として発表された。「Yabe」はこの酵母の最初の発見者である矢部規短治博士の名を冠したもの。

伝統的なきょうかい酵母

・1号:灘の「櫻正宗」の酒母より分離
・2号:伏見の「月桂冠」の新種より分離
・3号:広島・酔心山根本店の「酔心」の新酒より分離。
・4号:広島
・5号:広島・加茂鶴酒造の「加茂鶴」の酒母から分離
・6号:秋田・新政酒造の「新政」の醪から分離。発酵力が強く、穏やかで澄んだ香り。
・7号:1946年(戦後を変える酵母):長野・宮坂醸造の「真澄」から分離。戦後の日本酒の基調酵母とされ、現在も最も販売数が多い。
・8号:6号の変異株ということになっているが、やや疑問符がなげられている。
・9号:「香露」醸造元の熊本県酒造研究所の保存株から選抜。「香露酵母」「熊本酵母」と呼ばれる。低温長期発酵母吟醸酒造り向き。
・10号:茨城・明利酒類(めいりしゅるい)にて東北地方の複数の蔵元の醪の中から、小川知可良(おがわちから)によって分離されたため「明利小川酵母」とも呼ばれる。
・11号:7号の変異株。
・12号:宮城・浦霞の醪より分離され、「宮城酵母」とも呼ばれる。
・14号:「金沢酵母」とも呼ばれる。酢酸イソアミルの香り(主にバナナの香り)が強く、柔らかでバランスのよい吟醸香を有するといわれる。
・1501号(1990年):秋田県と秋田酒造組合の共同研究により1990年に誕生した「秋田流花酵母」(AK-1 )が1996年、きょうかい1501号酵母として採用された。旧きょうかい15号。泡なし性で、現在は1501号とよばれる。

各地で酵母開発

著名なオリジナル開発酵母の一つ、「きょうかい9号」。のちに「酒の神様」と称されることになる野白金一を技術師長として招聘し、熊本酵母の開発をはじめ、酒質アップに大きく貢献した。現在も希望する蔵には直接、酵母の頒布(熊本酵母KA-1)を行っている。
そのほかにも、産学共同などで開発された「花酵母」の酒も商品化されている。花から分離される花酵母の現在の主流は中田久保教授が分離したもの。桜やコスモス、ナデシコ、いちごなど約30種類の花酵母が生み出された。ほかにも、奈良の「ナラノヤエンザクラ酵母」や山口の「やまぐち・さくら酵母」などの花酵母も見られるようになっている。
 また、日本酒の多様化を目的に、ワイン酵母で醸造された日本酒も造られている。

機能性をうたった酵母の開発と頒布

吟醸酒づくりでは原料米を精米歩合60%以下に磨くため、栄養成分は減少。そのうえ発酵は10℃以下の低温で行われる。酵母はこのような厳しい環境に置かれると、なぜか果実のような香気成分を作り出すことが知られている。その代表的成分が、
・セルレニン耐性酵母(香り酵母)→カプロン酸エチル→りんご様のさわやかな香り
・イソアミルアルコールの量と酢酸イソアミルを造る酵素の活性→酢酸イソアミル→バナナ様の甘やかな香り

新しいきょうかい酵母

・小酸性酵母 1601号:カプロン酸エチル高生産
・尿素非生産性高エステル生成酵母 KArg1901:カプロン酸エチルが1801号よりも穏やかで、酢酸イソアミルは高生成。
・リンゴ酸高生産性多酸酵母 No.77:カプロン酸エチル高生産

酵母についてはここまで🧫✨
ちょっと覚えること多かったけど、日本酒の奥深さが少しずつ見えてきたかな?😊
次回は「特別な日本酒」についてまとめていくよ🍶🌟
お楽しみに!

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