さまざまな醸造技術が生む日本酒の特徴

純米酒と、アルコール添加という技術

純米酒の要件

①使用する原料は米と米麹のみ
②麹米の使用割合が15%以上であること
③農産物検査法で三等以上に格付けされた米を使うこと

アルコール添加酒と醸造アルコール

純米酒に対し、加えて醸造アルコールを用いるのがアルコール添加酒。
 醸造アルコールは、でんぷん質物や含糖質物を原料として発酵させ蒸留したアルコールのこと。
 1950年代半ばより、原料は輸入した廃糖密が主流で、これを国内で発酵させてから、アルコール濃度が95%程度になるまで連続式蒸留器で蒸留して使用した。しかし、廃液の処理が問題視され、1970年代になると、海外で造られた発酵粗留アルコール(廃糖密由来の純度が低いアルコール)を輸入し、国内で蒸留し純度を高めてから用いられるようになった。
 一般的には上槽の3日前~前日、あるいは直前に実施されるが、それ以前に、醸造アルコールに加水してアルコール濃度を30%程度まで下げておいてから添加するケースが多いようだ。

アルコール添加の効用

アルコール添加の効用について、香りが高く、すっきりした味になると記されている。また、日本酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落ち菌)の増殖を防止する効果もあるという。
 江戸期から酒粕から作る焼酎(粕取り焼酎)などを用いて行われていた。
 適度なアルコール添加は酒の風味を調え、淡麗で軽快な酒質を造り出し、香気成分を引き出す働きもする。

割り水をする酒と原酒

日本酒は世界の醸造酒の中でもアルコール濃度が高い。醪を搾っただけの状態の日本酒のアルコール濃度は20%前後にもなる。そこで「原酒」として出荷する場合を除き、瓶詰め前に加水調整(「割り水」という)を行い、15~16%程度に調整される。
 原酒については、「仕込みごとに若干異なるアルコール分を調整するため、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整することは差し支えない」と記されている。
 原酒の販売は近年のブームでもある。特に「無濾過生原酒」は、日本酒愛好家を中心に人気である。一方女性向けにワインと同程度の12%前後のアルコール濃度やより低いアルコール濃度の日本酒も、発泡性清酒を中心に生み出されている。

火入れ酒と生酒

火入れは、味わいを損ねないように60~65℃程度の温度で一定時間、酒に加熱をすることにより、酒に残った酵素の働きを止め、酒を「火落ち」と呼ばれる乳酸菌汚染に導く「火落ち菌」など死滅させるために行われる。
 醪を搾ってから出荷するまで、一度も火入れをしていない日本酒を「生酒」という。「なまざけ」、「なましゅ」、「生生」、「本生」とも呼ばれる。
 通常は安全性を重視し、上槽後(貯蔵前)と瓶詰め後(出荷前)の2回火入れを行う。
 火入れの方法としては、「蛇管式」や「プレート式」がある。他にも「瓶燗火入れ」もあり、手作業で効率がわるいが、タンクによる火入れよりも香気成分が揮散しにくい。
 近年、シャワーによる殺菌の「パストライザー・ウォーマー」や、同様にシャワーにより冷却する「クーラー」も使用されている。

ろ過する酒と無ろ過の酒

炭素ろ過により酒は無色透明に近づくか、無色透明になる。雑味も取り除かれすっきりときれいな味わいになりやすいといわれるが、一方で酒の風味もある程度、取り除かれてしまうというマイナス面がある。
 現在、最も一般的なろ過方法は、滓引き後、ろ紙フィルターを装着したろ過機に酒を通す方法で、ろ過助剤として珪藻土やセルロースが用いられる。また、メンブランフィルターや中空糸膜を用いた精密ろ過機も登場している。
 さて「無濾ろ過」については、酒税法上の明確な定義はなく、製造者によって使われ方が違う。
 無ろ過酒は一般に、搾ったままのさわやかさやうまみの濃さが魅力。ろ過した酒は飲み口がスムーズですっきりとした味わいが特徴とされる。

次回は、日本酒の味や香りを左右する大事な存在「酵母」について🍶🦠
どんな種類があって、どんな特徴があるのか?奥深い酵母の世界をのぞいてみよう✨
お楽しみに〜!

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